地方公務員として、住民からの多様な問い合わせに迅速かつ適切に対応することは重要な責務です。しかし、それぞれの問い合わせに対し、適切な言葉を選び、丁寧で分かりやすいメールを作成する作業は時間がかかります。今回は、この困難をAI技術を用いて如何に解決できるか、その方法を具体的にご紹介します。
AIへの“魔法の呪文”、その構造を分解します
公務員の皆さんがAIを活用する際の根本的な考え方は、「AIはあくまで高度なツールであり、使い方次第でその性能が大きく変わる」ということです。AIとの対話で重要なのは、明確で具体的な指示を出すことです。ここでは、最適な問い合わせメール作成を支援するAIのプロンプト作成技術を基本と応用、そして改善点に分けて解説します。
基本のプロンプト
基本のプロンプトとして、「住民からの問い合わせに対する丁寧かつ明確な回答を生成してください」という指示をAIに与えます。ここでのポイントは、AIに「丁寧かつ明確な」という修飾語を使うことで、AIが生成する文体と内容の質を指定している点です。これにより、AIはただの回答ではなく、公務員として適切なトーンと内容で答えることを目指します。
応用プロンプト
一方、応用プロンプトでは、より具体的な状況を示してAIの出力を最適化します。「65歳以上の高齢者からの福祉サービスに関する問い合わせに対し、利用可能なサービスとその申請方法を分かりやすく説明してください」というプロンプトです。ここでは、対象者(高齢者)、内容(福祉サービス)、目的(利用可能なサービスと申請方法の説明)という要素が明確に設定されています。これによりAIはより精度高い、目的に沿った回答を生成することができます。
ありがちな失敗プロンプト例とその改善
失敗例としては、「メールに答えて」というあまりにも曖昧なプロンプトが考えられます。この場合、AIは問い合わせの具体的な内容や文脈を理解せず、非効率的かつ不適切な回答を生成するリスクがあります。改善策としては、問い合わせの具体的な内容や求められている回答のスタイルを明確にすることが必要です。「市民からの建設計画の照会に対し、プロジェクトのスケジュールと影響を丁寧に解説してください」と具体化することで、AIは適切な回答を生成することが可能です。
実践例で学ぶ、AIとの対話術
例えば、ある地方公務員が「住民からの公園の安全性に関する問い合わせにどう答えれば良いか」とAIに問い合わせたとします。最初のAIの回答は「公園は定期的に点検されています」というものでした。これは事実ですが、質問の意図を完全には捉えきれていません。そこで、「具体的にどの公園のどの設備に対する点検記録を、どのように安全性を担保しているのかを詳細に説明してください」とプロンプトを修正し、AIに再度問い合わせたところ、より具体的で有益な回答が得られました。
応用が利く、その他のシーン
このテクニックは、メール作成だけでなく、議事録の整理や報告書の草稿作成にも応用可能です。例えば、「会議の議題ごとに、主要な議論点と結論を簡潔にまとめてください」というプロンプトを設定することで、AIは効率的に議事録の要約を行うことができます。また、「新しい公共プロジェクト提案のための事前調査報告書を作成してください」というプロンプトを使うことで、具体的なデータ収集と分析をAIに依頼することも可能です。
結び
今回ご紹介したAIを活用した問い合わせメール作成のテクニックは、具体的で実践的な例を通じて、どのように日々の業務を効率化し、質を高めることができるかを示しました。最初の小さな一歩としては、次回の問い合わせメールに対するAIの使用を試してみてはいかがでしょうか。その際には、具体的なプロンプトの設定を意識することで、より質の高い結果が得られるはずです。